イベントを巡る変化の動向
イベントを巡る変化の動向を3つの視点から捉えなおす。■ ピラミッド型からネットワーク型へ
ピラミッド型とは上意下達のシステムで、博覧会のような大きなプロジェクトを効率的に実行するうえで有効な方策です。一方のネットワーク型とは、いわば気のあった人間が集まり、共感する仲間を増やしていくシステムで、まず小さなサイズからはじめ、うまく仲間が広がればプロジェクトは拡大します。なかなか計算が成り立ちませんが、うまくあたれば予想をはるかに越えた波及現象を引き起こし、社会を巻き込みます。
ピラミッド型は「計画的」、ネットワーク型は「冒険的」とも言えるでしょう。
大規模な予算を持っているわけではない個人やNPOなどのグループがイベントを起こす場合は否応なくネットワーク型になります。それはベンチャービジネスのスタートにも似ています。NPOが爆発的に増加していくとともに、イベントもネットワーク型が広がっています。成功した代表的事例に「よさこいソーラン」があげられます。NPO、仲間グループ、ベンチャー企業など、行政や大企業だけではなく、誰もがイベントを興すことが自然となった「イベント百花繚乱時代」の始まりです。
■ 日常のイベント化
日本人は古来より、季節の移ろい、人の成長に合わせて、日常のなかに様々な祝い事や祭り事を生み出し、彩り豊かな生活文化を育んできました。生け花、茶の湯、和歌、俳句など、これら日本固有の文化はいずれも「作品」としての存在を示すことを価値とするよりも、人と人との出会い、繋がりを演出することに重要な意味をもつ「祭り文化・社交文化」と言えるでしょう。ドナルドキーンはそうした日本を「生きた伝統芸能博物館」と評しましたが、こうした日本人の文化的感性は、いまも脈々と息づいています。
マンガ、コスプレ、ゲームなどが世界から注目をあび、「ジャパニーズ・クール(かっこよい日本)」と呼ばれていますが、これらも基本にあるのは「人と人との繋がり」であり、共に主観を共有する「イベント」の楽しみと不可分なものなのです。
急速なグローバル化のなかで、地球規模での交流や主観の共有、共感の確認などをもたらす、日常に根付いた文化活動の重要性が指摘されています。
■ ITとイベント
IT技術は、社会の基本的なありかたから日々の暮らしの隅々にいたるまで、多大な影響を与え続けています。ではITとイベントはどのような関係にあるのでしょう。
いま、多くのイベント関係者は、ITとイベントとの「相性の良さ」に、気づきはじめています。例えば、コンサートやスポーツイベントの開催前には、フアン同士が携帯やWebで連絡をとり合い、その場に臨む「気持ちのウォーミングアップ」が一般化しています。終わったあともWebでイベントの余韻を噛み締めます。イベントの大きな魅力の一つに見知らぬ人との交歓、主観の共有がありますが、ITはその魅力を確実に増幅してくれます。またイベントは、作品としての枠組が規定されず、集団的で、自在な表現スタイルをもつ点が特徴ですが、これらはITの創造スタイルにも共通するものです。ITのもつイメージの共振性や相互触発型の創造スタイルは、イベントの新たな表現の可能性を拡張しています。一方ITの創造活動にとって、イベントは常に新たな挑戦を触発する刺激的な沃野となっています。

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