イベントの特性。「集団性」と「直接体験」
イベントをイベント足らしめる基本的な要件として、私はまず「集団性」と「直接体験」の2つを挙げたい。集団の直接体験に身を投じることによって得る高揚感は、個人と集団との帰属関係を確認する貴重な機会である。私は「目撃者」というハリソン・フォード主演の映画の一シーンをよく思い起こす。この映画では、昔からの生活習慣をかたくなに守りつづけている「アーミッシュ」の村が重要な舞台となっているが、アーミッシュの村での、村民を挙げての棟上の光景が、その集団的陶酔の様子が実に活き活きと描かれている。話は横にそれるが、この映画の監督(ピーター・ウイラー)の最新作「マスター&コマンダー」を観ると、この監督も集団の陶酔に魅せられた人間であることがよくわかる。
人が生きていくということは、何らかの集団に帰属し、或いは渡り歩いていくことに他ならない。集団は安全を確保し、収入を得るうえで欠くことのできない社会機能であるが、人が集団に組するのは、そうした功利的な理由だけではない。人間には、集団のなかでこそ実感できる生命の歓びが確かにある。「愛国心」もそうした集団における陶酔的自己確認であり、ナチスはそうした集団的陶酔の魔術を最大限に活用した。
そしていま、ファッションやブランディングも、同じ嗜好をもつ者の集団的自己確認をその根底に置いている。単に「経験」が価値なのではない。「集団的自己確認の経験」が価値であり、よってイベントは極めて有効なプロモーション手法となる。
